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地球の裏側、南米。
さらに天を突くアンデス山脈の山中に潜む絶景マチュピチュ遺跡とウユニ塩湖。
そこまでの道のりの遠さと、いざ目の前にしたときの心の震えの大きさは比例する。
北米大陸を経由し南米の玄関口ペルーのリマ空港に降り立つ。
時間帯を問わず常に賑やかな大空港だが、行き交う人々のなかにときおりテレビや雑誌で目にしたようなアンデス特有の衣装に身を包んだ人を見かけると、ペルーに来たことを実感する。
翌日の朝は早い。
これから向かうクスコ空港はアンデス山中にあるため、山の天候が比較的安定する朝に航空便が集中しているのだ。
街を見守るように丘の上に立つ大きな十字架を見ながら、無事クスコ空港に到着。
標高はすでに3360mもある。
空気の薄さはすぐには実感できないが、これは体内に酸素を蓄えているための一時的なことだ。
とにかくゆっくり行動したり大きな声を出すのを避けたりと、高山病予防のためにできることをしよう。
クスコはかつてインカ帝国の都だった。
当時はあふれるほどの黄金に満たされていたという神殿や高度な建築技術がうかがえる12角に整えた石、そして民族衣装を身にまとった人々が行き交うのを見ると、とうとうマチュピチュに近づいてきたんだという実感がわいてくる。
クスコを離れ、車で街を取り囲む山を上っていく。
このあたりの標高は富士山山頂を軽く超える。
そこかしこにインカの遺跡がみられるが、ここは体調優先なので我慢して通過する。
しばらくして山を上りきり今度は徐々に下っていくと、車は田園地帯に村々が点在する“聖なる谷”と呼ばれるエリアに入っていく。
そのなかでもひときわ存在感がある村がオリャンタイタンボだ。
クスコよりもさらにインカ時代の面影を濃く残している。
時間が許せば路地裏を散策して雰囲気に浸ってみたい。
道はここで終わり。ここからは鉄道の旅だ。
マチュピチュ遺跡麓の村と外界を結ぶ唯一のルートがこの鉄道なのだ。
オリャンタイタンボから約1時間半の列車の旅でようやくマチュピチュ村に到着。
村内の移動はすべて徒歩になる。
駅前の賑やかなマーケットを抜けるとようやく村の全容が見えてくる。
四方を山に囲まれた谷あいの平らなところがほとんどない狭いエリアに、建物が軒先を寄せ合うように密集して建っている。
村の周りの山のいずれかにマチュピチュ遺跡があるのだが、残念ながら村から望むことはできない。
以前は3つ星程度のホテルしかなかったこの村にも近年は5つ星や4つ星のホテルが増えたので、シャワーのお湯がでないなど秘境の洗礼を受けることはほとんどなくなった。
そしていよいよ夢にまで見たマチュピチュ遺跡が見られる日。
遺跡の入り口でシャトルバスを降りるが、ここでもまだあの風景は見えない。
入場券を見せて50mくらい進むと、ようやくあのマチュピチュの姿が目に入ってくる。
ワイナピチュとマチュピチュいう尖った岩山の間の細長い鞍部に斜面をうまく利用してつくられた都市遺跡。
ガイドの解説を聞きながらめぐるとインカの技術力の高さに改めて驚かされる。
また、世界自然遺産でもあるマチュピチュではこの地特有の植物が見られる。
日程によってはクスコへ続くインカ道の一部を歩いたり、遺跡を見下ろすワイナピチュ峰やマチュピチュ峰の登山をすることもできる。
これらはみな遺跡よりも標高が高いので、遺跡を見下ろすように眺めることができるのがポイントだ。
次は往路と同じ道をクスコまで戻り、空路、隣国のボリビアへ向かう。
事実上の首都ラパスはクスコ以上に標高が高い都市だ。
すり鉢状の町の郊外にある空港の標高は4000mを軽く超える。町のすぐ北に見える山の標高はなんと6,000m以上。
ウユニ塩湖まではラパスからさらに飛行機に乗り45分ほど。
以前は未舗装の道を1日がかりで移動していたので、これでもだいぶ楽になった。
小さな空港を4WDで出発。4WDのほとんどが日本メーカー製だ。過酷な環境でも故障しない日本車は大人気なのだ。
ウユニ塩湖は周囲の山々から流れ込む川が運んできた天然の塩分が長い年月をかけて堆積したもので、1年のほとんどは水がなく乾燥した塩の大地が広がっている。
1年のうちの僅かな雨季の期間のみ塩の大地に水が張り、あの鏡のような光景をつくりだす。
そして驚くことにウユニ塩湖には路線バスが走っている。
塩湖上には島のような塩湖から盛り上がった陸地にある家やホテルがあり、バスはそれらに寄りながら塩湖を縦断している。
また、塩湖の周囲にはインカの時代からほとんど姿を変えていないといわれる集落やその時代の墓があり、塩湖にたまっている水量によってはそれらを訪れることができる。水量が多いと4WDとはいえ進入できないからだ。
だが、そんなものは所詮おまけだと断言できるくらい、鏡のような絶景のインパクトは大きい。
運よく無風状態の晴天に恵まれれば、空や雲はもちろん夜の星空までもの全てを映し出す。
そこまでの好条件は滅多にないが、少しくらい風があっても大丈夫。
人間の目には少しくらい風による水面の乱れが見えても、カメラではきれいに反射した姿が写真に撮れるだろう。
上手く写真に写るためには、派手めな色合いの服装で臨もう。
青空と白い塩湖に映えるようなオレンジ色などの暖色がお薦めだ。
強い塩分を含んだ水がはねて、乾くと塩の塊が付着するので汚れても簡単に洗えるものがいい。
それと、高地の強烈な日差しが反射して地面からもふりかかるので、日焼け対策は念入りにする。
もうひとつウユニ塩湖で挑戦したいのがトリック写真だ。
ガイドがトリック写真用の恐竜の人形など小物を準備しておいてくれるが、一緒に写りたいものがあれば忘れずに持っていこう。
はしゃいで写真を撮ったり撮られたりしていると、ここが富士山より高いということを忘れてしまうが、絶景は逃げないので高山病予防のためにゆとりをもって行動しよう。
マチュピチュもウユニ塩湖も地球の裏側まで片道24時間以上かけて訪れる価値がある、まさに絶景だった。
企画担当者:久保池 豊 昨年からペルーを訪ねるツアーの募集をストップしていました…
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