世界の音楽愛好家が、一生に一度は行って観たいと憧れる「バイロイト音楽祭」。
ワーグナーのための、ワーグナーの音楽祭のためだけの劇場「バイロイト祝祭劇場」で、夏の一か月間だけ開かれる特別な音楽祭です。
そして、この音楽祭のハイライトはワーグナーの作品で最も大作である“ニーベルングの指環”4部作といえるでしょう。
『ライブ・音楽の旅』の企画を担当している私水谷は、この夏、「ドイツ“フランケンの森” ヴィルスベルクの夏休み 10日間」に添乗し、“ニーベルングの指環”の鑑賞を希望されるお客様を「バイロイト祝祭劇場」にご案内致しましたので、ツアーの見どころとともにその様子を皆様にお知らせします。
“辺境伯歌劇場”(社交のための劇場)と“バイロイト祝祭劇場”(音楽の理想のための劇場)
実は、バイロイトにはワーグナーのための祝祭劇場のほかに、“辺境伯歌劇場”という、一風変わった名前の歌劇場があります。今でこそ馴染みの薄い劇場ですが、当時の華やかな宮廷文化の象徴である数々の一流劇場の建築に携わったイタリアの建築家の手による、ウィーンやベルリン、ドレスデンの劇場を模した素晴らしい劇場でした。
2012年に『ヨーロッパにおけるバロック様式の祝祭・音楽文化の特別な記念碑』としてユネスコ世界遺産に指定され、2013年から18年の間に大規模な改修と整備修復作業が行われました。石造りの建物で内装のほぼ全ては木造で、建造当時の生き生きとした劇場空間が保存されています。
外見の“地味さ”に比べて内観の豪華絢爛なこと。美観で知られるパリのガルニエ宮に劣るものではありません。画像で見比べてみてください。
この劇場は来場者がお互いを魅せるための社交のための劇場でした。煌びやかな内装は、舞台上の演者たちだけでなく、観客一人一人も主役になったかのような気分にさせてくれます。
辺境伯卿の離宮として造園されたバイロイトの街の郊外に位置する庭園です。
当時の面影をそのまま残し、市によってしっかりと手入れされた広大な庭園は今、市民憩いの場所になっています。
町の通りには、ワーグナーの作品の名前を冠した通りが数多くあります。
また、街のそこここにワーグナーを模したモニュメントがおかれています。
また、歴史あるバイロイトの街の中心部にある旧市街の通りはきれいに整備され、散策や喫茶で寛ぐ市民や観光客の方で賑わいます。
今年は7/24 ~ 8/28 の1か月ちょっとの日程で催されました。
ハイライトは期間中3回だけ上演される『ニーベルングの指環』4部作であり、今回のツアーでは2回目の上演に合わせて日本を出発しました。
この4部作は、序夜『ラインの黄金』、第一夜『ワルキューレ』、第二夜『ジークフリート』、第三夜『神々の黄昏』と物語が続きます。序夜こそ休憩なしの2時間30分の上演時間ですが、あとは、それぞれ1時間くらいの休憩を2回挟んで6時間(大団円の第三夜は6時間30分!)という超大作です。
6日間かけて、ワーグナーの理想の音楽、世界が繰り広げられます。観る方も、まさに忍耐、体力勝負の格別な音楽会なのです。
そんな音楽会、一体誰が観るの?と思われるかもしれません。
ところが、この音楽会を観ようと、ワーグナーの熱いファン“ワグネリアン”をはじめとする音楽愛好家が世界中から集まってくるのです。また、かつてワーグナーのパトロンであった王侯貴族の末裔や、現代の政治家、実業家、おしゃれを極めたセレブも多く集うことから、華やかな音楽会になることでも知られます。
チケットは記名式で入場の際には身分証明書のチェックもあります。世界で一番チケットが取り難い音楽会のひとつなのです。
※下記では動画でもご覧いただけます。生のファンファーレを是非お聞きください。
ライブ・音楽の旅では、今年中に来年のバイロイト音楽祭に参加を希望されるお客様用のツアーを発表予定です。
お楽しみに!